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2006年6月13日更新 |
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【チンディア(Chindia)】
チンディア(Chindia)という用語が目につくようになった。近年急速に経済成長する中国(China)とインド(India)の二大人口大国を表現する新造語である。BRICsという用語もこの種の用語として用いられる。ブラジル(Brasil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)を総称するコンセプトである。後者のコンセプトはどちらかといえば今後の世界経済に占める潜勢力の表現であったように思われる。これに対し、チンディアは先進諸国に対する差し迫った現実的脅威を反映している。
低賃金を基礎にしたこれらの国の製造業、IT産業の競争力に対抗するのは先進国にとって至難の業であろう。生活水準の引き下げと社会国家的成果の集積を大胆に削減することができないとすれば、資源節約型、知識集約型産業構造への転換によって競争力を維持する以外に方策はない。その方向に誘導するためには、地球環境破壊、資源浪費を促進する工業的発展を抑制するための国際協定や、地球環境保全の視点からのWTOの見直しも必要であろう。そのような努力が先進国側のイニシアチブで展開されなければ、諸国間の平和共存も地球の未来も考えられないのではないか。
社会国家的成果を「改革」と称して削減し、「格差」拡大を是認してはばからない日本的な対応に未来がないことも、いずれ明らかになるだろう。
【南北問題(North-South problem)】
1959年にロイズ銀行会長O・フランクスが東西関係とともに自由世界が取り組むべき重要課題と提起して以来、「南」後進世界を「北」先進世界の体制に安定的に取り込むことが、先進世界の最重要戦略となった。
その内容も形態も時代とともに急速な変貌をとげてきた。
地球環境危機と人口爆発の21世紀に、「北」の生活様式で地球を覆い尽くすことなど不可能である。
その帰結は破局以外の何ものでもないからだ。
「南」の生活向上要求に抗して「北」はその権益をまもるために要塞化していくのだろうか。
それとも、人類生存を賭けた新しい生活様式を実現するために「南」「北」が学び合う関係に移行していくのだろうか。
「学び合い」こそが21世紀にふさわしい真の南北関係だと思うのだが。
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