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再発足にあたって

 私は二十一世紀は地球環境危機が深刻になり人類が総力を挙げて対応しなければならない時代になると確信していました。
その予測通りに事態は急速に進行しています。気候変動は地球上のあらゆる地域で心痛める深刻な状況を作り出しています。
豪雨、熱波、干ばつ、イナゴの大量発生、海面上昇等々、地球上のあらゆる地域で発生する惨事を伝える知らせは毎日のように伝えられています。
気候変動に限ってみても、危機が人類の終末に向かって加速度的に進行していることは誰もが認めるところでしょう。
その深刻さを前にしては、国益や企業の利益を優先して態度表明を渋っていた指導者たちも少しは心を入れ替えはじめたようです。
真剣に取り組んでいるかどうかは十分な検証が必要なことは言うまでもありませんが。

 ところがそこに予想もしなかった事態がが発生したのです。
戦争です。しかも古典的な領土争いの戦争です。
十九世紀、二十世紀はまさに戦争に明け暮れた時代でした。ついには核兵器まで開発され使用されるようになったのです。
その反省の上に戦争に反対する気風は定着し、指導者たちの自制心によって武力による国家間の大規模な抗争などありえないと、私だけでなく多くの人たちも考えていました。
まさにその時代に核で威嚇して戦争を拡大する指導者が登場したのです。
戦争を仕掛け,挑発した者の責任が問われなければならないのは当然でしょう。問題なのは、紛争や対立の解決を軍事力や戦争に訴える風潮が急速に復活し、軍拡と核武装を煽り立てる声が日増しに高まっていることです。
これでは地球上どこででも戦争が起きてもおかしくない状況に急変したと言えるでしょう。
国境線の変更の好機とばかりに大昔の領主や国王が支配した領域が思い起こされて、それを侵略の口実にするという論理が通用するなら、これからはどんな戦争でも正当化されることになるでしょう。

 このような状況の中で地球の危機的状況にどのように対処するか、国益を超えて解決策を地球次元でどのように発想し実現していくかという課題への取り組みは急速に後退しています。
しかしよく考えてみると、戦争は最悪の地球環境破壊行為ではないでしょうか。
国内の地域的な武力紛争も含めて戦争は地球上の生きとし生けるものの生存条件を破壊し、地球の存続を危うくします。
核兵器の使用は地球の危機をその極限にまで追い込みます。
戦争に反対することは、どのような立場の人であれ地球市民として地球上の生命体の維持存続への自覚を持つ市民として当然のことでしょう。

 科学、とりわけ人間関係に関わる分野は戦争と危機が提起する課題に対応してその研究分野と方法を変化させてきました。
いま新たな危機の時代に直面してその過程が提起する課題に関わろうとしない人間科学の諸部門はその存在意義を問われているといえるでしょう。

 二十一世紀は地球環境危機に真摯に対峙する時代だといえるでしょう。
指導者も市民も戦争に狂い始めている今、どのように危機を押しとどめるかは大変難しい課題ですが、挑戦し甲斐のあることではないでしょうか。
私自身も高齢ながらその課題に向き合うことが求められています。
2022年6月1日
佐々木 建
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